建築と茶道とデザイン。そして大和魂’s blog

愛知県西三河・安城市在住の建築家であり茶人・野田敏男の日記。

あつらえる。

「『あつらえる』ってどういう意味合いなんだろう」


友人から問われた言葉。

 

言葉って知ってるようで知らない。
漠然としたニュアンスでは感じても
ちょっと奥入った意味は知らなかったりする。


単に辞書で調べるなら

  自分の思いどおりに作らせる。
  注文して作らせる。
  人に頼んでさせる。

ってこと。

 

しかし言葉はそう単純じゃない。
歴史的背景もあるし精神論もある。

 

 

また、似たような言葉であるのが
「しつらえる」。

 

これは「整える。用意がある」ということ。
飾り付け、という意味もある。

 

「室礼 shitsurai」という言葉とも
深く関係があると予想するのは容易い。

 


「おあつらえむき」
なんて言葉もある。


これは「希望どおり」という意味。
あつらえた通り、という意味だろう。

 


あつらえる、を漢字で書くと「誂える」。

誂を分解してみると「言」「兆」。

「兆」は
  きざし
  前触れ
  予感
  予想
  希望
という意味。

 

これに「言」をつけるとどうなるか。

 

つまり、自分の好みを言葉で説明したうえで
作ってもらった希望通りのもの、ということ。

 

「誂」という言葉を紐解くなら
概ねそんな感じだろう。

 


尋ねてきた友人は、料理や菓子を作る人。
それを生業nariwaiとする人。

 

 

たとえば誕生日ケーキ。
そういうオーダーが来たとする。

 

作る側としては
できれば喜んでもらえるように作りたい。
オーダーする側の立場から言うなら
誂っていただきたい。

 

客からオーダー内容を自発的に言って頂ければ
こんな有り難い事は無い。
創る側から伺うのも勿論アリだろう。


ただ僕の持論としては
オーダー側からの希望「のみ」で済ませるのは
いささか頂けない。

 

人というのは
気持ちと言葉が一致しないことが多々ある。
意識的にしろ無意識的にしろ。
いや、無意識的な事が殆どか。

 

相手が言う事の「もう一歩先」を
読めるプロでありたい。

 

それは建物を建てる事を生業とする自分にも
大いに言えることだ。

 

客からの要望に対して「100点」ではダメだ。
最低でも「101点」を取らないと。

 

プロってそういう事だと思う。
それを成すからこそ、次へ繋がる。

 

「誂える」という希望を
次の希望へ繋げたい。

 


茶道も、そうかも知れない。

 

これはもっとムツカシイ。
事前に客側からの要望を聞くなんてことは、しない。

 

天気や季節を読み取る。
知人であれば相手の人となりを読み取る。
初見の方であれば、基本的な人物行動の基本を読み解く。
今、この瞬間の「間」を読み取る。
空気感を読み取る。

 

 

おもてなし。


モノを持って成し遂げる、という意味。
それに丁寧語の「お」をつけて
『おもてなし』。

 


「希望」というモノを持って成し遂げる。

 

そんな『おもてなし』も楽しいかもね。

 

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